被曝・診療 月報 第31号   県民の命と健康を守るたたかいは「復興」オリンピックを許さない

この号の内容
1 県民の命と健康を守る闘いは「復興」オリンピックを許さない
2 国際キャンペーン:東京2020 -放射能オリンピック
3 公演日誌in大阪
4 学校健診打ち切りの動きを押し返した「福島の怒り」
5 トリチウムの海洋放出は危険である

県民の命と健康を守るたたかいは「復興」オリンピックを許さない

-「2020東京汚染オリンピック」国際キャンペーンに応えてー

本町クリニック院長 杉井吉彦

東日本大震災と福島第一原発事故は歴史上かってない『核惨事』事態でした。
7年半が経過し、多くの人々思いは、「ヒロシマ・ナガサキ・フクシマである以上、核・原発と人類は共存できない」「福島の現実から考えると、原発の再稼動にまったく同意できない」「原発はすぐさまでも廃絶すべき」と思っています。
現在に至るまで、国際的基準ですらない年間20mmシーベルト以下での「強制避難」解除に対して、80数%以上の人々が「安全・安心ではない」と、生活と健康をかけて拒否し、避難を続けている現状があります。そして、福島における、被曝・健康障害が、「小児甲状腺がんの多発」として現れ、福島県民の命と健康を守らなければならないとの声が、「避難・保養」に対する多くの実施・協力・支援の運動として全国に広がっています(年間1万5千人以上が保養に行くと思われます)。
そうした中で、原発の再稼動、原発輸出を推進する安倍政権は、避難計画の未完成(病院・介護施設の避難計画などできるわけがありませんが)にもかかわらず、住民の反対を押し切って、再稼動などを強行しつつあります(5㌔範囲内の住民に、『抗甲状腺剤』を予防的に配布する。 11月に原子力規制委員会決定。それによって、原発の安全性を自ら否定している)。
そして、「復興オリンピック」と銘打って、2020年に東京オリンピックが開催されようとしています。安倍首相の誘致発言「事故はアンダーコントロールされている」「現在も未来も健康障害は起こらない」は、全く、現実とかい離しています。汚染水の大量貯蔵(海への放出を狙っています)、「暫定」除去施設の未完成、除染物の放置、915万袋のフレコンパック。更に、もっとも危険な汚染デブリの除去は未だ「目途さえ」立っていません。
さらに、全県を回るとされる聖火リレーに駆り出される県民にとって、路上は汚染除去したとして、数メートル、数十メートル先の森林は全く除染されていません。「放射能汚染が循環する森」をみて下さい。放射能風雨は否応なしに襲いかかります。被曝なしとは絶対にいえません。更にオリンピック球技アスリートはどうなのでしょうか。誘致・開催の前提が全く崩壊しています。さらに新たな被曝の危機に200万県民を晒すのです。にもかかわらず、あえて『復興オリンピック』と称し、特例として福島県内での球技の開催と、オリンピック聖火リレーの出発点として(ギリシャでの採火式を3.11前後に設定する)、「福島の安全・安心」を押し付け、現実を覆い隠そうとしています。
世界の人々、とりわけ命と健康を守る医師たちは、オリンピックの日本での開催に多くの疑問を持つのは当然と言えます。本号に全文を掲載した、アレックス・ローゼン小児科医師(1回目、2回目の被爆・医療福島シンポジウムに発言を寄せていただいている)らの「IPPNW核戦争防止国際医師会ドイツ支部キャンペーン」が「2020東京『汚染』オリンピック」で世界に呼びかけています。
極めて、現実をよく把握した提言だと思います。一点だけ「日本政府は、避難解除後、故郷に帰還しようとしない避難者たちには支援金の支払いを止めると脅しています」となっていますが、事態は進んでおり、現在すでに「脅し」ではなく、支払いを止めつつあります。これにたいして、避難者は支援金の継続や増額を求めて裁判に訴えています。山形の雇用促進住宅に入居している避難者にたいしては、「退居せよ」と、裁判に訴えています。入居者は、訴える資格もない事業団に対し、受けて立つと理不尽なやり方を弾劾しています。
このキャンペーンの中で「日本の汚染地域が平常状態に復帰したことを装おうとする日本政府の試みを強く弾劾する」ことは、多くの心ある世界の人々の共通の思いだと考えます。
私は、この国際キャンペーンに賛同し、国内外の医師、医療関係者の賛同を勧めたいと思います。よろしくお願いします。
(※国際キャンペーン正文は今号に載せました。賛同の旨を是非、月報編集部または福島共同診療あてにお寄せ下さい。)

国際キャンペーン
“Tokyo2020 ? The Radioactive Olympics”

“東京2020 一 放射能オリンピック”

2020年に日本は、世界中のアスリートに東京オリンピックヘの参加を呼び掛けている。私たちは、選手たちが偏見なく平和的に競技できる期待すると同時に、野球とソフトボール競技が、崩落した福島第1原子力発電所から50Kmの福島市で計画されることを憂慮している。 2011年この地で複数の原発がメルトダウンし、放射能が日本列島と太平洋に拡散した。チェルノブイリの核メルトダウンに唯一匹敵する核惨事となった。

この惨事の環境的・社会的な帰結は、この地の至るところで確認できる。多くの家族がその先祖伝来の家から引き剥がされ、避難区域はさびれ、汚染上が詰められた数十万のバッグ(フレコンバック)が至るところに放置され、森林・川。湖は汚染されている。日本は平常状態への回帰なされていないのだ。

原子炉は危険な状態に置かれており、更なる核惨事がいつでも起こりうる。海洋、大気、土壌への放射能汚染は毎日続いている。膨大な核廃棄物が原発敷地内の野外に保管されている。もしもう一度地震が起これば、これらが住民と環境に重大な危険を引き起こすことになる、核惨事は継続しているのだ。

私たちは2020オリンピックに向けて国際キャンペーンを企画している。私たちの関心事は、オリンピックのアスリートと訪問者が、その地域の放射能汚染により健康上の悪影響を受けるかもしれないということである。放射能感受性の強い子供や妊婦には、特段の関心を寄せねばならない。

日本政府の公的な見積もりによっても、オリンピックには120億ユーロもの巨費が掛かる、一方で日本政府よ、汚染地域に帰還したくない全ての避難者への支援打ち切りの脅しを掛けている。
核事故に起因する追加被曝の一般人に対する許容限度の国際基準は、年間1ミリ・シーベルトである。

避難命令が解除された地域では、帰還する住民は年間20ミリ・シーベルトに晒される。膨大な除染作業が行われた場所でさえ、山岳や森林地帯が放射性微粒子の継続的な貯蔵庫として働くので、好ましくない気候条件によっては何時でも再汚染されることになる。

私たちのキャンペーンは、核産業の危険性について一般民衆を啓蒙することに照準を合わせる。日本の民衆がどのような健康障害に晒され続けているかを明らかにする。通常運転中の原発でも、一般民とりわけ幼児と胎児に対して重大な脅威を与えている。

核産業の有毒な遺産のための安全かつ恒久的な保管場所は、この地球上の何処にも存在しない。これこそが真実なのだ。

私たちは、原発の段階的廃止を呼び掛ける日本の仲間の取り組みを支持し、化石燃料と核燃料から離脱し、再生可能エネルギーに向けた世界的エネルギー革命を促進するため、オリンピックのために創設されるメディアを活用するであろう。

私たちは、世界中の軍事産業複合体の政治的代表者に、本件に関与することへの関心を高めて行く。

私たちは、日本の汚染地域が平常状態に復帰したことを装おうとする日本政府の試みを強く弾劾する。

私たちは、世界の全ての組織に私たちのネットワークに加わり、このキャンペーンをまとめて行く運営グループを共に立ち上げて行くことを呼び掛ける。
オリンピックまでは2年であり、まだ組織化の時間はある。
ご返事をお待ちします。

“核脅威のない2020オリンピックを”キャンペーンに向けて:
   Annette Bansch-Richter-Hansen
   Jorg Schmid
   Henrik Paulitz
   Alex Rosen

 

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