この号の内容
1 健康を守る、福島をくり返さない
2 第36回県民健康調査委員会傍聴記
3 現代(いま)いのちを問う
講演会・分科会の報告
4 弁護士田辺保雄氏
「原発賠償訴訟の現状について」
5「9年が過ぎて父親として」
健康を守る、福島をくり返さない
東海第二原発の再稼働はNO!
本町クリニック院長 杉井吉彦
10月の19号台風によって東日本の各地に大きな被害が発生しました。福島では死者30名を超え、住居の全・半壊1、700棟、床上浸水12、000棟の大被害を受けました。10月23日の「福島民報」の投書欄には「農機はもとより田畑は水没。国は一機100億円心する戦闘機の輸入をキャンセルし、災害復旧に回してください」との投稿がありました。同じ面の「今回の天皇代替わりの費用160億円」対比に福島県民の気持ちと意志が現れていると思います。被曝を強要する、チェルノブイリ法の基準と大きく異なる20mシーベルト以下の帰還を誘導する「復興」は進んでいません。多くの住民が「避難解除」になった地区への帰還に応じていません。被曝・健康被害の恐れと「復興」に値するための生活基盤の整備が、復興が進んでいないことを国民は知っているからです。「復興オリンピック」は実態のない、むしろ被曝・健康被害を進めるものとしてあります。
さらに、来年3月から、常磐線の全面開通(現在、運休中の浪江駅~富岡駅)が進められようとしています。これまでの基準では「帰還困難地区」である、住民が生活していない地区に列車を走らせる計画です。20mシーベルト以上にかかわらず、JR東日本株式会社の、女子労働者を含む、従業員に「線路上は除染されている」とが、「列車が走っても、汚染に関する特別な検査は必要ない」と、被曝をまさに強制する事態になろうとしています。また、乗客として「通過」する県民に対する、「特別な処置・警告などはしない」としています。今までの基準を全く無視し、最終的には、「帰還困難地区」は無くす、20ミリシーベルト以上の地域に住まわせる方針に切り替える第一歩ではないかと危惧されます。「安全・安心」のキャンペーンに対して、今こそ、「被曝強要反対」「健康を守れ」が、医学・医療の常識ではないかと思われます。東京保険医協会の「東京保険医新聞・鋭匙」に、[医師の被曝基準を超えるような地域に‥これでいいのか]との意見は人々の、とりわけ人々の健康を守る責務がある医師の共通の意思・見解とならなくてはいけないと考えます。
また茨城県では、最も古い時期に完成した、東海第二原発が、2、000億もの巨費を使って再稼動する計画が進んでいます。多くの県民が(関東一円でもあります)反対しており、元日本医師会長の「福島の甲状腺がんの多発の考えると・・」の反対集会発言かあり、多くの医師が参加しています。賛成・反対を問う「県民投票」運動が進んでいます。福島の現実を確認すればするほど、茨城東海第二原発再稼動反対の意思を強くせざるを得ません。