被曝・診療 月報 第37号  菅谷昭松本市長・医師のインタビユー

この号の内容
1 菅谷昭松本市長・医師のインタビユー P1~P8
2 深刻な放射能被害と無責任な東電・国は許されない    p9
3 県民と共に活動を拡げた1年
一第8回福島診療所建設委員会総会より    p10~p11

4   ふくしま共同診療所報告会たより (札幌 熊本)   P12

昨年12月17日に、松本市庁舎において、菅谷昭市長・医師にインタビューに応じていただきました。
1996年1月から200↓年6月にかけてベラルーシヘ赴かれ、子ども達の命を守るため甲状腺がん手術の改善などに手を尽くされました。医師として、市長としての活動の源泉をお話しいただきました。

深刻な放射能被害と
無責任な東電・国は許されない

ふくしま共同診療所院長 布施幸彦

昨年は福島も10月11日の台風19号被害で大変でした。全国では死者90人、行方不明5人ですが、福島では、死者32人、負傷者59人、全壊1、339棟、半壊11、230棟、一部破損5、697棟、床上浸水2、611棟、床下浸水463棟など、過去最大となる甚大な被害を受けました。
東日本大震災の大津波と同様に、過去の水害の教訓が全く生かされていないことが明らかになりました。僅か1年前の西日本豪雨で260人以上の犠牲者が出ていたのに、その教訓も活かされませんでした。台風や豪雨が予測されたら「命を守る行動を」と呼びかけるばかりで、老朽化した橋や堤防など何一つ治そうとしませんでした。その結果として、2年連続の河川の氾濫で甚大な被害が起こりました。

仮置き場などから放射性汚染物質が漏出

福島の場合は、原発事故による放射能汚染土のフレコンバックが家の周辺や仮置き場に置かれていましたから、それも流され、汚染土は家の中や除染された庭や田畑に流れ込みました。今も全国から被災地を救おうと福島に集まってくれたボランティアは、家や庭の清掃で、粉塵となった汚染土を吸い込み、被曝させられている可能性があります。これはもはや天災ではなく、人災であり、「治山治水」を怠ってきた安倍政権の無策の結果です。
地球温暖化でここ数年異常気象が続いて起きています。今年も大型台風や集中豪雨が来るでしょう。国や県は「命を守る行動を」と自己責任を押し付けるのではなく、早急に対策をとるべきです。

クレタ・トゥーンベリさんの告発

スウェーデンのクレタ・トゥーンベリさん16歳の、国連気候行動サミットでの発言を胸に刻むべきです。
「私か伝えたいことは、私たちはあなた方を見ているということです。そもそも、すべてが間違っているのです。…生態系は崩壊しつつあります。私たちは、大量絶滅の始まりにいるのです。…あなた方が話すことは、お金のことや、永遠に続く経済成長というおとぎ話ばかり。…この状況を本当に理解しているのに、行動を起こしていないのならば、あなた方は邪悪そのものです。…もしあなた方が私たちを裏切ることを選ぶなら、私は言います。あなたたちを絶対に許さないと」。

原発事故の責任を一切取らない東電と国

今年も3.11が来ます。今でも県外避難者31、217人(10月9日現在)。避難者とは福島県に住民票を置いている人のことで、住民票が他県に移動すれば、避難者ではなくなります。また県内に避難者は10、699人(10月31日現在)です。今でも多くの人たちが放射能汚染を心配して帰れないでいるのです。東電や県からの補助金も打ち切られ、生活は困窮しつつあります。それだけでなく福島県知事は、自主避難者を「わがまま」だとして避難住宅から追い出すために裁判を起こします。
小児甲状腺がんは疑いを含めると231人、174人が手術で癌と確定しています。放射能汚染水タンクはほぼ満杯になっています。そこで汚染水を海洋投棄しようと国は考えています。「第一原発処理水の海洋放出 自然被曝と比較して 年間線量3300分の1、大気放出は1600分の1」(経産省試算)と発表されました。国は汚染水の海洋投棄に向けて動き出しました。
昨年9月には、東京電力旧経営陣3人に対する無罪判決が出ました。あれだけの事故を起こしたのに国や東電は誰一人として責任を取りません。
農地から放射性物質を取り除くことを要求した裁判では、「飛散した放射性物質は東電の管理下になく、農家が所有していると言えるので東電に除去は請求できない」という判決が出ました。政府も東京電力もたれ一人として責任を取りません。こんな理不尽なことをまかり通してはなりません。だから私たちは今年も3月11日にこだわって集会とデモ(反原発福島行動)を行います。

3.11反原発福島行動にご参加を

今年のテーマは「原発事故は終わっていないーオリンピックやってる場合か、子どもたちの命と未来を守ろう」です。場所・時間は、郡山市の「けんしん郡山文化センター(郡山市民文化センター)」午後1時から。今回は普天間基地に近接する宜野湾市緑ヶ丘保育園の屋根に米軍機の部品が落下した事件に関し、子どもの命と安全な空を求めて署名運動や防衛省への申し入れを行っている「チーム緑ヶ丘1207」のお母さんの発言もあります。
沖縄は辺野古基地建設阻止・普天間基地即時撤去で国と闘っています。福島のお母さんも子どもを守るために原発事故を起こした国と東電と闘っています。沖縄と福島のお母さんの 邂逅がこの国を変えるきっかけとなるかもしれません。
最後に、クレタさんではないが私もこう言いたい「あなたたち(国と東電)を絶対に許さない」と。

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