被曝・診療 月報 第19号

今こそ、小児甲状腺エコー検査の充実を!

ふくしま共同診療所院長 布施幸彦

① 検討委員会の縮小=廃止方針に県民から異議

本年7月3日の福島県小児科医会総会で「甲状腺検査事業においては被ばくの影響とは考えにくいものの、‥・多数の甲状腺がんが発見されており健康不安の一因となっており、…子どもの健康を守り、不安を軽減する」ために、検査や治療の現状を縮小の方向で再検討するべき、とした声明を採択し県に要望した。それを受けて、検討委員会の北斗座長は「9月にも、甲状腺検査の対象者縮小や検査方法の見直しを視野に入れた議論に着手する」と福島民友新聞社の取材に明らかにし、
(1)18歳を超えた県民を今後も検査対象にするべきか
(2)受けない選択を難しくしているとの指摘がある学校での集団検診の方法を改めるべきか
―などの論点について議論を始めるとみられた。
しかし、「3.11甲状腺がん家族会」の「過剰検診のデメリットはない、規模の拡充を」の申し入れや「甲状腺検査の縮小」に反対する多くの県民の声が県に寄せられた。9月14日に行われた県民健康調査検討委員会では、県民の声に押された検討委員会の委員の多くが「今後も少なくとも10年は継続すべき」と主張したため、今回は見送りとなったが、星座長は「検査の在り方について今後も議論を進める」と検査の縮小の議論を継続することを表明した。 “被曝・診療 月報 第19号” の続きを読む

被曝・診療 月報 第18号 

2016.10①県内外避難者の帰還の強制に反対し、全国で避難者を守る大運動を起こそう。

               ふくしま共同診療所院長  布施 幸彦

imageはじめに
8月28日山形県で福島県から自主避難している828人が「住宅支援の延長を求める会」を発足させた。会は、「福島県知事との対話・住宅支援の延長実現・全国の避難者との協力」を掲げて活動する。
9月8日で楢葉町の避難指示が解除されて1年が経過したが、帰った人は約1割でほとんどが高齢者。来年の4月にはこども園と小中学校が再開予定だが、園と学校に通う意向の子どもたちは16%に留まっている。若い人や小さな子どもがいる家族は、避難指示が解除されても高汚染地域には帰りたくないのだ。

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